鉄拐(てっかい)堂

怪異な石像群

染井にあった藤堂家の下屋敷・抱え屋敷の庭園にあった石像(11体と言われている)を集めた堂。またの名を仙人堂という。本郷高校の隣に昭和の終わり近くまで怪異な石像が残されていた。石像の8体は、現在は板橋区の東京大仏乗連寺境内にある。

明治中頃の様子が、孫引きになるが、

「染井なる藤堂家別邸の古石像のことは久しく之耳にするのみにて未だ親ら探るに及ばざりしに此頃訪ふべき人のありて彼の近邊まで趣きしかば、便(びん)路(ろ)その邸に至り留守の人に請いて一覧することを得たり嘗て聞及びし園庭は既に廃して迹だに留めずただ見るに草樹雜生し或は鋤て菜園とするものあり加之邸(しかのみならずやしき)の南西部は往年已に上収し東部は近頃割(さき)て隣邸岩崎氏に併せしとのことなれば僅に其北部のみなるべし。門を入て南すること凡二百餘歩にして竹樹の間に入る飛石を傳ふる一條の經路あり石像は二三十歩づゝ隔て、その左右に安置す凡十一體外に石塔碑各一座あり舊時は園内諸處に安ぜしを近時此處へ聚(あつ)めしといふ(略)」

江戸會雑誌

参照文献:
「おもしろ 江戸の噂・村のうわさ」
伊藤榮洪 (豊島区図書館専門研究員)
※伊藤榮洪氏は平成28年お亡くなりになられた。
「江戸會雑誌」1889(明治22)年6・7月江戸會/「大東京の史跡名所」(昭和5年発行・昭和52年復刻)所収

鉄拐仙人像
奪衣婆像
役の小角像
がまん鬼像
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