東京の原風景

「東京の原風景-都市と田園との交流-」(川添登・NHKブックス・昭和54年)
この本の「序 都市文化としての花」には、次のような記述がある。

「・・・このように優れた花の文化をつくりだした園芸植物の最大のセンターは、桜のソメイヨシノで知られている染井を中心にして、団子坂、駒込、巣鴨の地域に大きくひろがっていた。
このほか麻布、大久保、向島、浅草等、花づくりで知られた土地は、数多くあったが、向島や浅草など下町や川向うの植木・花卉の栽培は、比較的後世になってから行なわれだしたもので、歴史的にみても規模の大きさからみても、染井・巣鴨のそれにはとうてい及ばなかった。
これまで江戸の歴史といえば、そのほとんどが下町を主としたものであったので、その欠をおぎなう意味からも、山の手の近郊であった染井、巣鴨を中心として、江戸・東京の歴史を花によって綴っていきたい。
それは花を媒介とした都市と田園との交流の歴史であり、また人びとと環境とのかかわりあいの歴史であるといってもよいであろう。」

「東京の原風景-都市と田園との交流-」(川添登・NHKブックス・昭和54年)

滝野川界隈とりわけ染井・巣鴨と江戸期の園芸文化を知るうえでの必読の書です。

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